2013 年 69 巻 2 号 p. I_976-I_981
2012年10月米国東岸に上陸したハリケーン・サンディに伴う高潮・高波により,米国ではニューヨーク州とニュージャージー州を中心に大きな被害が生じた.今回のハリケーン・サンディは,フェッチが長い,水深が浅い,波のセットアップといった,高潮の発生する要因が揃っていた.ニューヨーク市街地近郊において最大4mの高潮偏差であった.地下トンネル,地下鉄,地下街の浸水,停電,港湾・空港施設の被害,発電所,工場,製油所の浸水被害,油流出など,大都市における高潮災害であったことが特徴である.また,米国沿岸部は広範囲にわたって高潮被害を受けており,特にバリアー島において被害が大きかった.沿岸部住宅地区では高潮,火災による家屋の被害があった.