抄録
スリット構造と中詰石で構成される重力式消波構造物の波浪制御効果および波力特性をCADMAS-SURFを用い検討した.スリットは鉛直壁(3枚)および水平板(2枚)に設けられたが,スリットの配置を変えた4タイプについて透過率,反射率およびこれらから算出されるエネルギー損失を調べた.その結果,波エネルギーの減殺効果が大きいのは全ての鉛直壁および水平板にスリットを設けるタイプであった.このタイプについては,堤体に作用する波力も調べ,不透過構造に比べ波力が低減できることを確認し,波力の低減効果は,水平波力および鉛直波力の別に合田式に対する修正係数を用いれば精度良く算定できることを明らかにした.さらに,堤体の滑動および転倒に対する安全率を検討し,現地においても実用的な構造形式が成立することを確かめた.