2014 年 70 巻 2 号 p. I_211-I_216
港口を構成する防波堤(西)(東)近傍にそれぞれ浅瀬が存在する日本海側のA港では,港内に侵入する風波やうねりの波群の回折・砕波が同時に発生し,港外から来襲する自由波とともに,拘束波に由来する港内長周期波の発生が顕著になる.ブシネスクモデルにより算定したこの両者はそれぞれ港内の観測波高と比較的よく一致するため,この理由を考察するとともに,岸壁前面での波高出現頻度及び稼働率について従来の自由波に加え,港内波及びこれらの合成波に対するものをそれぞれ算定して比較した.なお,有義波高3m以上の沖波の出現頻度が1%にも満たないA港に対しても港外の自由波を適切に推定できるよう,風波に対するアーセル数をパラメータとするαlの推定式を新たに提案して用いた.これらの結果,成分波の波向分布がより適切であると期待される港内波では,自由波に比べ,より小さな稼働率が算定された.