抄録
津波来襲時において,遡上波が到達する前に津波が排水路を逆流して陸上へ溢水する現象が確認されている.溢水を防ぐ対策工として立坑を蓋により閉塞する場合や発電所施設のポンプ取水路などの場合は,気相の影響が管内圧力や溢水量に現れてくると考えられる.本研究では,地下管路内において気液二相流となる津波を対象とした水理模型実験を実施し,特に管内圧力に着目した計測を行い,気相がどのような影響を及ぼすのかを検討した.その結果,地下管路内において生じる現象には気相の存在が大きく影響しており,陸上へ溢水するまでの所要時間や溢水量はもちろんのこと,圧力変動にも大きな変化を及ぼすことが明らかとなった.出口を閉塞する影響やエアハンマー現象などにも留意しながら,地下管路内壁や溢水対策施設の設計を進めていくことが望ましい.