抄録
本研究では,異相界面の捕獲手法の高精度化と質量保存性の向上を目指し,高精度界面捕獲法THINC/WLIC法を3次元固気液多相乱流数値モデルDOLPHIN-3Dに導入し,その妥当性と有用性を検証することを目的としている.まず,THINC/WLIC法を方形波の移流計算,円に対するせん断流れ,球に対する渦流れに適用し,精度検証を行った.その結果,同手法は十分な精度を有することを確認した.ついで,THINC/WLIC法を導入したDOLPHIN-3Dを水柱崩壊問題に適用し,非常に高い質量保存性を有することを示した.さらに,固気液相の相互作用現象に対する本モデルの妥当性を検証するために,段波と矩形剛体の衝突・漂流問題に適用した.その結果,同モデルは剛体に作用する圧力を良好に再現するとともに,段波の矩形体衝突時における水塊の跳ね上がりも表現可能となり,異相界面の捕獲精度の向上を確認した.