抄録
防波堤の津波越流時における安定性について,有川ら(2012)1)などにより水理模型実験がなされ,越流時においては,ケーソンが港内港外水位差により倒壊したこと,特に背面側の水圧が静水圧から減圧していたことがわった.一方で,水理模型実験においてはケース数が限られているため,静水圧からの補正係数の汎用性が不明瞭であった.そこで,本研究では,数値シミュレーションにより,様々な形状の防波堤に対して,津波の越流時の安定性の検討を行った.その結果,既存の補正係数により,ケーソン幅によらず検討することで安全側の評価となることを明らかに,また,ケーソン形状を変えた検討により,上部斜面型やパラペット型にしても矩形型と安全率が変わらず,より経済的断面を提案できる可能性を示した.