抄録
鉄鋼生産の副産物である製鋼スラグは,海域環境改善などの資材としての有効利用が進みつつある.製鋼スラグは石灰分を多く含むためpH上昇に留意が必要で,主に施工中は管理されているが,実供用段階のpH影響や経時変化については十分な知見がない.本研究では,粒度調整製鋼スラグの施工直後から1ヶ月にわたり直上部の海水のpHおよび周辺への影響を調査した.また,積層状スラグからのアルカリ影響を数値シミュレートして実海域のpHと比較し,アルカリ影響について検討した.施工後初期は施工エリアの海底面に近いほどpHが上昇し,安定下では0.05程度高かったが,1ヵ月後にはほとんど差が認められなくなった.実海域から回収したスラグのアルカリ溶出能は施工前に比べて大幅に低下しており,その値で数値シミュレートした結果,実海域のpHを良好に再現できた.