抄録
広島デルタの河口域の河川干潟では生活排水の増加によりヘドロ化が進み,アナジャコ等が優占する泥干潟が形成されている.泥化が進み,かつ護岸堤内側との地下水流動が遮断された河川干潟の底質環境改善を図るため,2011年には石炭灰造粒物を用いた透水層が設置された.本研究では石炭灰造粒物層内における地下水流動性を把握するために,施工から2年後の2013年から2014年にかけて造粒物層内の流動性,地下水の性状の測定,地下水の連続測定を実施した.石炭灰造粒物層内では施工から2年後においても十分に地下水の流動が生じており,地下水流動に伴って酸素を含む地下水とクロロフィルaを含む濁質が造粒物層内へ輸送されていることが明らかとなった.