抄録
管理型海面廃棄物処分場に適用される鉛直壁は,廃棄物と海洋とを隔てる遮水工として重要な役割を担っている.この鉛直壁には遮水性能が要求されることはもとより,遮水工の損傷または欠陥等の万が一の事態に備えたフェイルセーフ(安全装置)を付加することが関係法令や技術マニュアルにおいて要求されている.筆者らのグループは土質系遮水材を充填した箱形鋼矢板壁工法を開発し,廃棄物処分場の鉛直遮水壁として適用し施工している.箱形鋼矢板は二重の継手を有し,これらに遮水処理を施すことで基本遮水性能を確保するとともに,継手部の遮水室内に土質系遮水材を充填することでフェイルセーフを付加している.本研究では開発した鉛直遮水壁の施工性や遮水性能およびその評価手法について,実現場における施工を通じて得られた知見について述べ考察した.