2015 年 71 巻 2 号 p. I_215-I_220
海上工事を安全で効率的に進めるために気海象予測情報の取得は重要な課題であるが,作業限界波高1.0m程度の波浪推算精度についての検証例は少ない.また,リーフ周辺は地形や波浪場が複雑であるため,数値解析においても課題が多い.そこで,本研究ではリーフ地形周辺の現地波浪観測を行い,その結果を用いて,海上作業可否判断に資する波浪予測モデルの構築を試みた.
現地観測の結果,リーフ周辺の波はリーフエッジ沿いに屈折しながら回りこむ波浪が支配的であったため,浅海域の波浪解析手法としてエネルギー平衡方程式を用いてリーフを回りこむ波を評価し,沖波に対する対象地点の波高比を算出した.WAMで求めた沖波推算波高に,算出した波高比を乗じて予測値を提供する簡易波浪予測モデルを構築し,そのモデルが実務的な精度を有していることを確認した.