抄録
内湾の潮汐を考える際に外洋潮汐の知見を得ることは非常に重要であるが,近年上昇している平均海面の上昇との関連などに関する検討はあまり行われていない.そこで,本研究では,国内外の約200か所の外洋に面した験潮所における実測データ解析と統計解析を行った.結果として,平均海面は長期的に見ると79.3%の験潮所において増加傾向を示した,一方で,主要な半日周期分潮振幅の変動は,平均海面のような全球的な統一傾向は示されなかった.しかし,日本沿岸や北米大陸西岸など空間距離が近い験潮所では同一傾向を示す海域もあることから,ある程度の海域特性を有することが示唆された.また,分潮間の増減傾向の一致度を検討したところ多くの験潮所で傾向が一致することがわかった.