抄録
日本海における2012年4月3~4日の低気圧(LPS)を対象として,気象庁MSM風資料を入力条件とした第3世代モデルSWANによる波浪推算を異なる時間間隔Δtや仮想的低気圧条件のもとで行い,最大波高の最大値HmaxMなどを調べた結果,(1) HmaxMに及ぼすΔtの影響は有意であり,クーラン数1.5以下が望ましいこと,(2) 風速場を15 %増幅することにより,確率的波浪シミュレーションで想定されるHmaxMに達すること,(3) 当該低気圧は最も大きいHmaxMを生じるコースをとったこと,(4) 移動速度の減速によりHmaxMが大きくなり,最大の増加量1.1 mが速度比2/3の場合にみられること,(5) 当該低気圧は日本海の北東部沿岸に風速,コース,移動速度に関して現実的な最悪条件に近い条件での異常波高をもたらしたこと,が指摘された.