抄録
微気圧変化による津波の発生および規模の検知の可能性を探るために,まず平常時の微気圧変動観測を新潟大学の建物屋上で行った.観測は,微気圧変化,風向・風速および雨量の同時観測を行った.観測の結果,微気圧変動は降雨や寒冷気流の降下等によって発生していることが分った.津波発生・伝搬に伴う微気圧変動の3次元数値解析では,津波の初期水位の上昇領域では正の微気圧波が,水位の下降領域では負の微気圧変動が発生することが分った.また,微気圧変動が津波よりも速い速度で広範囲に伝搬する様子が再現された.さらに,地殻変動時間が短いほど強い微気圧波が発生する結果が得られた.このことにより,微気圧変動の観測により津波の発生の有無および規模を推定できることが分った.