抄録
筆者らは大阪湾における流動および浮遊ゴミの挙動予測を行うために,リアルタイム流況再現・予測システムを構築している.本研究では,現地において河口からのゴミ流出を想定したブイ放流実験を行い,再現予測計算の精度の検証を行った.検証に当たり,リアルタイムで取得している観測風から海上風を推定する手法の改良を行った.検証の結果,システムの出力する流速は,概ね現地調査の観測値の傾向を捉えることができた.ブイの漂流経路とシステムによる仮想粒子の軌跡を比較したところ,4ケースの追跡予測の中で最大6.3kmの差が見られた.追跡予測に用いている流速の最適な水深を検討するために,ブイの軌跡と比較した結果,計算結果の第1層流速および抵抗板の中心に相当する水深15cmの補間流速値を用いた場合,水表面流速より良い再現性を示した.