抄録
和歌山県串本町では,南海トラフ巨大地震の発生によって,強震動の作用のみならず,本震発生数分後に巨大津波の来襲が予想されている.本稿では,串本町の津波来襲予想地域における強震動予測地点(525地点)から指定避難場所までの歩行所要時間に関する計測実験を行うことで避難歩行時間を評価した.そして,避難余裕時間もしくは避難困難度に基づく二つの手法を用いて津波避難困難区域の評価を行った.両手法を津波来襲予想地域に適用した結果,北東部の埋立地が津波避難困難区域として抽出された.さらに両手法を用いて,津波避難施設が北東部の埋立地に今後新設された場合の減災効果についても言及した.