抄録
中央防災会議では早期避難により津波被災者を最大で90%減らすことができると試算しているが,人的被害が最小とされている夏季の日中は海水浴シーズンの最盛期であり,海岸には地元以外からの来訪者が多く利用しており,その地域に土地勘のない利用者の津波避難対策が課題となる.
そこで本研究では,南海トラフ地震によって津波来襲の可能性がある海水浴場を選定し,その管理を担当する地方自治体や管理組合等の団体を対象に海水浴場における津波防災対策や管理体制の現状を把握するためのアンケート調査を行った.その結果,管理体制では責任者だけでなく管理者全員の津波防災に関する知識や意識の向上を計る必要があること.また多くの海水浴場では避難マニュアルやハザードマップの作成など津波避難計画を確立させる必要のあることがわかった.