抄録
大規模地震・津波後に,国民生活を維持し,産業を継続させるためには,被災港湾の機能代替が不可欠である.東日本大震災では東京湾や日本海側の港湾が,阪神・淡路大震災では大阪港を始めとする主要港湾が,代替港湾として機能した.これらの代替港湾では,取扱能力が限界に達した例が見られた.以上の状況を踏まえ,本研究では,i) 外貿コンテナ輸送を対象に,港湾の取扱能力制約を考慮した大規模地震・津波後の代替港湾の推計手法を構築し,ii) 東北広域港湾BCPにおいて,シナリオ地震・津波後の代替港湾を推計した.その結果,多くの代替港湾にて能力が限界に達し,他の港湾を使用せざるを得なくなる可能性が危惧された.今後,各港湾にて,代替港湾としての能力・体制の拡充を進めていく.