抄録
「港湾の施設の技術上の基準・同解説」に震源モデルの設定方法が示されていない,沈み込んだ海洋プレートの内部で発生するプレート内地震(スラブ内地震)のうち,首都圏直下のMw7.3プレート内地震と安芸灘プレート内地震について,震源のモデル化手法を提案した.震源のモデル化は,(1)想定地震の地震モーメントの設定,(2)アスペリティ総面積の算定,(3)短周期レベルの算定,(4)技術基準に基づいてその他のパラメータの算定,(5)疑似点震源モデルを適用,(6)震源位置は対象施設直下に設定,(7)断層上端深さを海洋プレート上面深度に設定,(8)歴史地震の震度や内閣府による予測震度との整合性を確認,の手順で行うことを提案した.この手順をMw7.3プレート内地震と安芸灘プレート内地震に適用し,妥当性の確認を行った.