抄録
VietnamのVung Tauの東9 kmに流入するCo May川河口における砂州の変動状況を調べた.この河口では,河口を取り囲む浅瀬の外縁線が東西非対称形であることから,南西向きの沿岸漂砂が卓越していることが分かった.また,河口右岸砂州の付け根付近では高波浪時の波の遡上により後背湿地に生育するマングローブ林まで砂が打ち込まれ,その後澪筋に沿って上流方向へと向かう沿岸漂砂により侵食され,上流部に砂嘴の発達を促した.現況汀線に粘性土層と枯れた樹木が残されている点より,河口右岸砂州は砂の打ち込みと波による侵食という変動を繰り返しながら徐々に侵食されつつあると見られた.