抄録
本土海域とは異なり鹿児島県や沖縄県の南西諸島沿岸域では,十分な量の陸砂や河口浚渫砂を確保しにくいために,建設骨材や養浜材料として,サンゴ礁沖合海域海底の砂を採取し利用している.一方,サンゴ礁内の砂浜や砂丘は海岸・海洋災害に対するバッファ-ゾ-ンとして重要なだけでなく,生物の生息領域や観光資源としても重要である.現在,鹿児島県においてはサンゴ礁内の砂浜や砂地から砂を採取することはないので,砂浜や砂丘に対する海砂採取の直接的な被害は生じていないが,建設用骨材目的で実施しているサンゴ礁沖合海域での海砂採取が,サンゴ礁内の海浜侵食を生じさせないか定量的な検討を行う必要はある.そこで,本研究では,サンゴ礁沖合海域で海砂採取を行っている徳之島喜念浜海域を対象に,現地調査及び数値計算を行い,海砂採取領域の妥当性に関する検討を行った.