抄録
各地で試みられている人工干潟の造成事業では,航路・泊地の整備で発生した浚渫土砂が埋立材として有効活用されているが,ヘドロのような超軟弱な状態のまま干潟内部に閉じ込められた浚渫土砂の時間変化についての知見はきわめて少ない.本研究では,2008年に造成された徳山下松港人工干潟を対象として,造成直後から数年間にわたりMASWによる継続的な調査により物性の変化をモニタリングした結果を報告する.せん断波速度が25m/sしかないような超軟弱な地層においても,MASWは十分な精度でせん断波速度構造を把握できることをサイスミックコーンによる直接測定で検証した.時間の経過とともに緩やかに生じる強度増加は,圧密による含水比の減少(間隙比の減少)のみならず,シキソトロピーによる強度回復の影響が強く現れている.