抄録
大阪湾奥部に位置する堺泉北港堺2区に,海域の環境改善の一方策として3タイプの生物共生型の護岸を実験的に設置した.水質調査および生物調査を設置後から6年間にわたって実施した.実験海域の水質は8月から9月にかけて底層から水深2 mまで貧酸素化する程,富栄養化が進行していた.実験水域は生物生息には厳しい水環境であるにもかかわらず,生物共生型護岸の設置1年目から生物が加入した.準絶滅危惧種のホソアヤギヌ(海藻)やヤマトシジミ(貝類),ウナギやアユ等の幼稚魚が加入した.また,6年経過後もその生物生息場としての機能を維持していた.