抄録
VancouverのRoberts Bankには広大な干潟が存在し,世界有数の渡り鳥(シギ・チドリ類)の飛来地となっている.Roberts Bank tidal flatにおける渡り鳥の飛来の大きな要因として餌資源となっているbiofilmの存在が指摘されているが,如何なる物理・塩分環境にて存在するか等,不明な点が多い.そこで本研究では,biofilmが形成される大きな要因であると考えられる塩分環境に注目し,干潟上面および干潟の土中深さ0.2mにおける塩分濃度の測定を行い,いかなる塩分環境が形成されているかを計測・解析した.その結果,常に陸側から海側にかけて負の水面勾配が形成されており,沖に向けて増加している土中の塩分濃度は長期間にわたって維持されており,biofilmの安定した形成に重要な役割を果たしている可能性が示された.