抄録
八代海は極めて閉鎖性の高い内湾であり,近年,底質環境の悪化と生物多様性の劣化が顕著になっている.本研究は,既往の調査研究成果により,底質項目と底生生物分布の時系列変動,底質の栄養塩と海面養殖の関連性,含泥率と球磨川流量の関連性,含泥率分布と最下層の平均流の関連性,底質項目と底生生物出現種による海域特性等について検討し,八代海を7海域に区分した.八代海は容体積が小さく湾口幅は狭い.一方で,北流する黒潮分岐流に対し南に開口するため外洋水が侵入しやすい.このような地形的特性から,球磨川の影響や東シナ海の海洋環境変動の影響を受けやすく,湾奥と湾口とで底生生物分布と底質環境に大きな違いがあることを明らかにした.八代海の再生策を検討するに当たっては,このような地域特性の違いを十分に考慮する必要がある.