抄録
都市河川河口では,夏季の貧酸素化や,冬季の河口閉塞による水質の悪化が問題となっている.一方,河口砂州は河口を閉塞させることで,稚魚の生育に必要な汽水域を形成する可能性も持っている.このため,砂州の動態を把握し,これを適切に管理することで都市河川河口及びその沿岸の水環境の改善が期待できる.そこで本研究では,明石川河口部において現地調査と航空写真判読を行い砂州の動態を把握するとともに,潮流と波浪の数値計算を行うことで明石川河口砂州の形成要因を把握した.現地調査から,直近の4年間においては右岸砂州が,航空写真判読から,長期的には左岸砂州がそれぞれ発達する機会が多いことが確認された.また,数値計算から,明石川河口付近では潮流よりも海浜流の流速の方が大きく,これに伴い土砂が移動することから砂州の形成要因は波浪の影響が大きいことが示唆された.