土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.32
波浪推算に基づく波高・周期の推定値に及ぼすスペクトル幅の影響
野中 浩一山口 正隆日野 幹雄宇都宮 好博畑田 佳男井内 国光
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2016 年 72 巻 2 号 p. I_253-I_258

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抄録

 スペクトル法に基づく波浪推算において有義波高Hや有義波周期Tの算定は周波数スペクトルの0次積率の平方根値および-1次と0次積率の比にそれぞれ定数の換算係数α(= 4.004),β(= 1.000)を乗じて得られる.しかし,αとβはスペクトル幅パラメータQPやκ01とともに増加し,QP→∞やκ01→1で上記の値に漸近するベキ乗式で近似される.このため,係数αやβを変量とする場合には定数とする場合に比べてHTが小さく評価されるので,波浪推算における過大評価は適正評価の方向へ是正される反面,適正評価や過小評価は過小評価の助長につながる.ここでは,わが国の太平洋岸沖合の多数のGPSブイ波浪計による観測結果とSWANによる推算結果の比較を通じて,台風(T)1106時に前者の傾向が,T0918時には後者の傾向が周期や最大有義波高に対して現れることを確認した.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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