抄録
気象庁MSM風資料と第3世代モデルSWANよりなる波浪推算システムの東シナ海における適用性を,経路が典型的に異なる台風T1102時とT1216時の風および波浪の観測資料との比較に基づいて明らかにしたのち,最大波高の最大値に及ぼす波の発達条件の影響を調べて,つぎの結果を得た.1)南西諸島全域を経て九州西岸に点在する14灯台でMSM風速は観測値より10~20%大きい傾向にあるものの,全般的によく符合するが,九州西岸では北側地点ほど大きくなる.風向に対して両資料の対応は良好である.2)南西諸島と九州西岸北部の観測地点で推算波高・周期は観測結果とよく符合するが,T1102時では周期の再現性がやや低い.3)最大波高の最大値に代表される波高の推算値は海面抵抗係数や波の発達項の表示式に依存して有意な程度に変化する.