2016 年 72 巻 2 号 p. I_509-I_514
近未来に発生が懸念されている南海トラフ巨大地震の震源域では,強震動の作用のみならず,本震発生数分後に巨大津波の来襲が予想されていることから,避難余裕時間に基づいた津波避難困難区域の抽出手法の提案が行われている.近未来の地震である南海トラフ巨大地震と近年の歴史地震である1993年北海道南西沖地震は,共通点が非常に多い.そこで本稿では,1993年北海道南西沖地震によって甚大な被害を受けた奥尻島青苗地区を対象フィールドとした強震動評価ならびに避難歩行実験を実施し,得られた結果と人的被害のデータを比較することによって,津波避難困難区域の抽出手法の適用性について確認を行った.