2016 年 72 巻 2 号 p. I_556-I_561
水産系副産物(ホタテ貝殻など)の利用法の一つとして降雨浸透制御技術であるキャピラリーバリアへの活用が検討されている.通常,キャピラリーバリアには砂と礫が用いられるが,近年では水産系副産物である貝殻を用いる研究・開発も進められている.このキャピラリーバリア機能を砂浜に適用することで砂層内に浸透した海水をより迅速に沖へ排水し,砂の侵食を低減する効果と共に,砂の堆積を促進する効果も期待できる.
本研究では,ホタテ貝殻を用いたキャピラリーバリアの海浜断面変化に及ぼす影響について検討することを目的とし,室内実験による一定水深条件と変動水深条件での実験を行った.その結果,貝殻の設置による海浜断面変化への影響を確認し,砂の侵食低減効果および堆積促進効果を実験的に明らかにした.