抄録
出水時に有明海湾奥部に流入した筑後川河川水の挙動に及ぼす吹送流の影響を明らかにするために,国土交通省観測のHFレーダによる表層流データを用いて,流入河川水を模した粒子追跡シミュレーションを行い,有明海湾奥部及び諫早湾で実施されている塩分等の連続観測データ,月 回の塩分平面分布データによる比較検証を行った.粒子追跡シミュレーションは,2013年,2014年夏季の月1回の塩分平面分布調査前の出水期間を対象として行った.その結果,有明海湾奥部に流入した河川水の挙動は,出水規模や潮流に加えて吹送流の影響を強く受けることが確認された.北寄りの風が卓越する場合には比較的速やかに諫早湾方面に輸送されるのに対し,南寄りの風が卓越する場合には,河川水は湾奥沿岸域に吹き寄せられて有明海湾奥部における滞留時間が長期化しやすくなると考えられる.