抄録
フラップゲート式防潮堤は,通常地面に倒伏し,水位に追従して起立・倒伏を行う津波防御施設である.従来型のフラップゲート式防潮堤は,両側部戸当り内に扉体動作開始の補助,ならびに動作完了時の制動の役割を果たすカウンターウエイトを設けている.しかし,カウンターウエイトは,扉体先端の両側2点で扉体本体を支持するため,径間の広い開口部への適用は現実的ではない.そこで,カウンターウエイトを扉体の背後に設置し,複数の扉体を緩やかに連結することで,支持間隔の長大化を抑制した長径間型フラップゲート式防潮堤の提案を行う.本研究では,8門の扉体を有した実験模型を対象とし,津波を模擬した水位変化に対する扉体動作の確実性,扉体に作用する波力等を計測することで当該設備の防御性能および成立性の確認を行った.作用させる模擬津波の条件や実験模型の波向き角度を変えた一連の水理実験を通じて,扉体には,設計可能な範囲で荷重が作用することがわかった.また,全ての実験条件で扉体は正常に連続した防潮壁を構築し,当該設備の防御性能を確認した.