抄録
漁港,港湾,河川事業は,法律に基く各種基準に従って進められているが,隣接の海岸管理区域との関係において,砂移動への認識が十分でない状況下でこれらの基準に忠実に従って工事を進めると,ある場所での工事が隣接海岸の侵食を引き起こすという問題について法律的側面から考察した.海岸に関係する法律と,それらに基づく各基準における海浜土砂の扱いに係る部分を整理した上で,それらの課題について考察した.さらに,これら公共土木施設が侵食などにより被災した場合,それに準拠して進められる災害復旧制度とその運用上の課題についても述べ,これらをもとに今後海浜を健全な形で維持していく上で必要な幾つかの改善方策(例えば,災害復旧制度において隣り合う海岸管理者間での砂のやり取りを可能にするなど)を提案した.