抄録
本研究の目的は,サンゴ礁海域を対象として,SfM(Structure from Motion)による水中3次元計測(水中SfM)の可能性を明らかにすることである.そこで,サンゴ礁海域である西表島網取湾において,枝状サンゴ,塊状サンゴおよび海草であるウミショウブを対象に水中SfMと実施コストが高い従来の測量を同時に行い,これらの結果を比較・検討した.
その結果,水中SfMは,サンゴの高さ,長径,短径および枝状サンゴの枝幅を最大誤差4.5 cm,最小誤差0.1 cmの精度で計測でき,サンゴ保全のためのモニタリングなどにおいて有用となることが明らかとなった.一方,ウミショウブは,連続写真撮影中に葉が波や流れによって揺らぐため,SfMによる3次元化が不十分であった.