抄録
建設後年数を経た臨海部護岸や岸壁においては,裏埋土の流出等が生じた結果,護岸直背後の舗装直下に空洞が生じる場合がある.このような空洞を非破壊で検出する方法として,常時微動の活用が考えられる.これまで,60cm程度の短いピッチで機器を配置する常時微動アレイ観測により空洞を検出できるという報告はあるが,一般に数百mの延長を持つ岸壁を60cm程度のアレイ展開で観測するには多くの労力を要することは否めない.そこで,本研究では,数百mの延長を持つ岸壁を対象として,岸壁背後の埋め立て地盤までを広範囲に調査することを目的として,空洞を単点常時微動観測により検出する手法の適用性について検討を行った.