抄録
越波型の海水交換工内のように摂動や乱れを伴う小規模水路に設置可能なマイクロ水力発電機として,本研究では板バネに支持された円柱の渦励振によって圧電素子が弾かれるVIV発電装置を試作した.はじめに乱流強度が異なる一様流中と摂動流中における円柱の振動特性を調査したところ,一様流中では共振振幅が幅広い条件で得られること,また摂動流では円柱は閾流速を越えるとロックイン周波数を伴う共振を発生することを確認した.続いて振動円柱が圧電素子を弾くフリッキング発電装置を試作し,定常的な一様流場と摂動流場での発電量を計測した.素子を弾く発電方法は屈曲動作を与える方法の約二倍の出力電圧を発生し,フリッキング発電機構を搭載したVIV発電装置は乱れや摂動がある流れ場でも共振を維持した発電が可能であり,一様流場と同程度の出力を発揮することがわかった.