2016 年 72 巻 2 号 p. I_838-I_843
環境修復事業は施工後長期に渡り空間の在り方を規定する一方で,自然環境としては変化をし続け,またその環境を背景として生活する人々の関心事や利用の在り方も時代と共に変化し続ける.そのため,当該事業に関わる合意形成の議論は,時間的方向性を有した流れを捉える必要性がある.本研究では,東京都大田区の「大森ふるさとの浜辺公園」におけるフィールド調査から,施工前後の期間中,そして開園後現在に至るまで,各関係主体が大森の「これまで」と「今」に対する意識と知識を互いに共有し,「これから」という将来像を“投影”していく“持続的合意形成”の形を明らかにした.また当該事業目的の中でも心理的要素を含んだ項目の成果に対する評価を,公園利用者の東京湾に対する意識を尋ねる自由連想記述調査の分析を通して試みた.