抄録
食文化と食産業のグローバル展開のため,政府と民間が水産物の輸出倍増に取り組んでいる中で,水産物については,水揚げ港や加工施設等を含めた産地での衛生管理対策や,水揚げ,加工から輸出まで一貫した生産・物流について十分な検討に至っていない.そこで本論文では,水産物の特徴に留意し,漁業・養殖業生産統計,財務省貿易統計等の分析や関係者からのヒアリング,衛生管理対策に関するアンケート調査の分析から,漁港・港湾・空港が衛生管理対策を含めた流通拠点として,また鮮度保持対策を含めた輸送機関の拠点として,生産地から輸出先国までの重要な生産・物流機能を果たしていることを明らかにするとともに,輸出促進においては,活魚、生鮮・冷蔵やフィレ加工ものの輸出拡大は効果的であり,鮮度保持対策を強化した上で近接航路を活用し東アジア諸国への輸出を推進すべきという結論を得た.