抄録
土のキャピラリーバリア(CB)を生かした降雨浸透制御技術は,廃棄物最終処分場閉鎖時や極低レベル放射性(L3)廃棄物処分場などの覆土として採用・検討されている.しかし,砂層と礫層で構成されるCBは,乾燥,地震力の作用などにより,上部の砂が下部礫層の間隙に移動し,CB機能の喪失が危惧される.この課題に対し,筆者らは礫代替材として破砕貝殻を下部層に用いることで,CB機能と共に,上部の砂が下部の破砕貝殻層の間隙に移動することも同時に防止できることを見出した.
本論文は,長期安定性が求められる廃棄物最終処分場の覆土などに,礫代替材として破砕貝殻を採用した場合,浸透水と接触した際の破砕貝殻からのカルシウム溶出量ならびに浸出水のpHに及ぼす影響を2種類の室内土槽実験により明らかにし,破砕貝殻の最終処分場覆土への適用性を明らかにした.