2017 年 73 巻 2 号 p. I_108-I_113
本論文では,被覆材の重量,配置方法を変化させて,防波堤に来襲する津波を模擬した水理模型実験を行い,被覆材の被害の程度を評価した.得られた結論をまとめると以下のようになる.(1)被覆材は越流が発生する以前に被害が発生した.これは水位差による浸透力のために被害が発生したと考えられる.(2)実験結果から表層すべりに対して0.29 Nの被覆材は10 %以上だったが,0.38 Nは3.5 %以下となった.このことから0.29 Nと0.38 Nの間に被覆材が安定する限界の重量があると考えられる.(3)被覆材の配置方法を変化させた結果,正方形配置より三角形配置の方が安定していた.(4)表層すべりに対する安全率を定義した.これによって被覆材の正方形配置と三角形配置の安全率を比較すると三角形配置の方が安全となり,実験結果と一致するため,その被害の傾向は表せた.