2017 年 73 巻 2 号 p. I_120-I_125
東日本大震災では,最悪のシナリオを考えることが重要であることを学び,震災後は,二つの津波レベル,「防災レベル(レベル1)」と「最悪のレベル(レベル2)」を考えるようになっている.しかしながら最近では,最悪のレベルの津波が次第に大きくなり,地域によっては,避難しか考えなくなっていると思われる.もちろん,沿岸域の強靭化のためには,津波の死者をゼロとすることが,最も大切であり,当然ともいえる.しかしながら,強靭化のためには,被害をできるだけ少なくする「減災」だけでなく,早期復旧が重要である.減災,縮災を着実に進めるためには,その制度を明示しなくてはならない. 本報告では,三つのレベルによる津波減災・縮災の制度を提案する.