2017 年 73 巻 2 号 p. I_396-I_401
桟橋RC構造物の維持管理を合理的に計画するためには,構造物の劣化過程を適切に予測することが重要である.本研究では,桟橋上部工の実事例を対象とし,各種不確実性を考慮した確率的劣化予測の有効性を検討する.考慮する不確実性は,コンクリート表面の塩化物イオン濃度,みかけの拡散係数,鋼材の腐食発生限界,かぶりの施工誤差である.特に,空間的相関性を有すると考えられる塩化物イオン濃度,みかけの拡散係数については,確率場としてその空間変動特性を考慮した劣化予測モデルを提案する.最後に,不確実性が劣化予測に与える影響(寄与度)を分析することにより,本手法の有効性,発展性を議論している.