抄録
高度経済成長期に建設した数多くの社会基盤施設が供用期間50年を超え,適切な維持管理は重要となってきている.桟橋は塩害に対して厳しい環境に置かれており,より適切な維持管理を行っていかなければならないが,劣化した桟橋の残存耐力や耐震性能に関する研究は少ない.本研究では,健全および劣化した桟橋の部材および全体系に関して載荷実験とその再現解析を行い,桟橋の各部位(梁および梁と鋼管杭との接合部)の鉄筋腐食が桟橋全体の残存耐力に与える影響について検討を行った.結果から,梁部材が劣化した場合には耐力が低下し解析においても再現できた.接合部については,ハンチ部鉄筋が劣化した場合でも主鉄筋による荷重分担により弾性範囲内であれば耐力低下は見られなかった.全体系においては,載荷実験により劣化による耐力低下が見られたが,解析のモデル化手法に課題があることが示された.