抄録
東北地方太平洋沖地震津波が浸水した宮城県南部の海岸林樹木62本を対象に,津波による樹木の立木・倒木,津波浸水深,樹高,樹径,および年輪などを現地調査した.この結果を基に津波に対して立木として生育していた樹木の倒伏限界をこれまでの研究で明らかにした.本研究では,この倒伏限界と宮城県林業振興協会が184本の黒松について調査した結果との比較を行い,両者の傾向はよく一致することを示した.さらに,力学的に求めた樹木の傾倒限界式に基づいて樹木生育地盤の土質(砂系,砂礫系)が及ぼす影響を検討した.その結果,樹木の生育地盤の土質が樹木の傾倒限界に及ぼす影響が明らかになった.