2020 年 76 巻 2 号 p. I_55-I_60
近年,地球温暖化により豪雨の頻度や強度が増加傾向にあるとされるが,現在の洪水防護の基準となる計画降雨は過去の観測データから作成されたものであり,温暖化の影響を考慮していない.そこで本研究では,都市河川である東京の善福寺川流域を対象とし,d4PDFを用いて4℃の温暖化を想定した場合に計画降雨がどの程度変わりうるか,その計画降雨を用いた場合の最大浸水深および浸水面積がどの程度変わるかについて氾濫解析モデルを用いて調査した.4℃上昇時の計画降雨の総降水量は,現在使用されている計画降雨の約1.2倍に増加し,最大浸水深は約1.2倍,浸水面積は約1.5倍に増加した.また,中央集中型の降雨波形を用いると,引き伸ばし法よりも約10%程度氾濫規模が大きくなることが判明した.