抄録
わが国の砂浜・泥浜海岸約7,600kmを対象に,1970年代と2000年代の変化量を,従来の一般的な解析手法であった「海岸線」ではなく,汀線及び後背地の土地被覆である砂浜・砂丘植生・海岸林・海岸構造物・その他(宅地・農地等)を「面」として総合的に解析した.その結果,2000年代では砂浜や砂丘植生が減少し,海岸構造物とその他が大きく増加していることが把握できた.また,海浜の変形は汀線とともに,後背地の土地被覆が複雑に変化していることが定量的に把握でき,その事象は同じ漂砂系で細分化した地区海岸約6,500箇所で作成した土地被覆図上で詳細に示された.