抄録
熊本県白川河口域の干潟地形において潮下帯に形成される前置層斜面に着目した.2016年の熊本地震による斜面崩壊や洪水による土砂供給の影響で,前置層斜面が2014年から100m余り前進していることを現地調査で確認した.前置層斜面の発達に寄与する底泥の挙動を把握するために泥水の挙動を下層密度流として扱い室内実験を行った.泥水の供給量は一定とし濃度と斜面勾配を変化させ,流速と濃度を計測した.泥水濃度の増大に伴い流れが加速され,流れの逆流域の範囲も拡大するが,濃度は一様化されずに高濃度領域は底面近傍で見られた.底泥の沈降速度を泥水濃度と塩分濃度を変化させた実験を行い,泥水濃度が16000ppm程度で沈降速度が最大となり,既存の結果と算定式と同様な結果となった.