抄録
近年,様々な産業系リサイクル材を活用した環境改善に関する研究開発がおこなわれている.PS灰や浚渫土もその一つであり,干潟・浅場造成等の自然再生での利用について検討されている.これまでPS灰の水域での利用に関して高pHの影響が懸念されていた.そこで,pHが中性に近いPS灰系改質材と浚渫土を使用した改質土を干潟・浅場造成の材料として利用するため,生物に対する安全性および生物加入状況を確認することを目的とした実海域試験を実施した.その結果,改質土は再泥化することなく,生物出現状況についても,底生生物とアサリの出現状況は対照区である砂と比較して同等かそれ以上であった.そのため,本改質土は干潟材料としてだけではなく,アサリ漁場に利用できる可能性があることが示唆された.