抄録
海底熱水鉱床の開発では,鉱石をスラリー状で移送することが想定されているが,鉱石の衝突によって配管等の摩耗が懸念されるため,当該摩耗量を推定することは,海底熱水鉱床開発のためのシステムの設計や,経済性評価にとって重要である.そこで,著者らはスラリー移送による配管の摩耗量評価のために,小規模なスラリー循環式の配管摩耗実験を実施した.実験の結果,配管の内面材質による違いや,配管の傾斜角,スラリーの循環による鉱石の劣化が摩耗量に及ぼす影響を確認した.また,著者らが実施した配管摩耗実験と既存の実験式から,現時点で想定されている実機スケールの配管での摩耗量を推定し,SUS304の配管が1mm摩耗するのに要する時間は88日という推定結果を得た.