2018 年 74 巻 2 号 p. I_127-I_132
平成26年5月に新潟県で発生した事故では,砂浜を遡上する波浪で児童を含む5名が死亡した.既往研究では,事故発生時の波浪や砂浜を遡上する波浪の挙動について考察を行ったが,ここでは,異なる波高・周期時の遡上波浪の挙動の変化を把握するとともに,他の緩勾配地形の海岸での同様な内容を把握した.次に,様々な波浪条件における遡上波浪の危険度を遡上流速および遡上水位から定量把握することを試みた.その結果,事故発生海岸では波高1 m以上で大人でも転倒する可能性が高いことを把握した.更にこの手法を用いて異なる勾配地形の海岸での危険度の定量把握を試みた.その結果,1/10勾配よりも急勾配海岸では,波高 1m,周期6秒程度以上で危険度が増大した.この結果を用いて新潟県内の1/10勾配よりも急な海岸の抽出を試みた.