抄録
温暖化適応において,海面上昇に起因する災害の増分を知ることは,沿岸域の適応策決定における重要な知見である.本研究では,温暖化と関連のない津波を対象に,海面上昇による津波災害の増分と,適応策としてマングローブ林と堤防を組合せた対策による津波減衰効果について断面1次元計算により整理した.その結果,海面上昇に伴い増加する災害の増分は,マングローブ林と堤防を組合せた場合に増加幅が大きくなるケースが示された.平面地形を用いた計算では,適切な植生・堤防の配置や規模が対象地点との離隔にかかわらず津波到達の遅延効果を発揮させることやその遅延効果により避難施設の建設量を低減するというベストミックスの可能性を示唆し,平面配置による検討の必要性を確認した.